日本文化評論序説 第1回
佐々木悟医師が卒業した青森高校は、太宰治や寺山修司の出身校です。そのためか、佐々木医師の書棚は雑多な本でいつもあふれています。
彼が見聞きしたことをまとめ、「日本文化評論序説」として、いかぽっ報に10回連載されました(07年1月1日の第4号から08年2月11日の22号まで)。
佐々木医師のディープな世界にしばし、浸ってみませんか?
原田甲斐こそ中年男性の理想像
『樅ノ木は残った』
言わずと知れた江戸初期伊達騒動を題材にした山本周五郎の名作だ。最近ようやく読んだ。
山本周五郎はぽつぽつ読んではいたが、中学生の頃、平幹二郎主演のNHK大河ドラマで放映されていた記憶があって正当歴史小説と思い込み苦手意識があった。重そうでなんとなく手をつけるのをためらっていた。
時代小説は司馬遼太郎の「梟の城」からはまりだしたが、気がついたら山田風太郎マニアになっていた。池波正太郎、藤沢周平と読みすすみ、山本周五郎に取り組もうと思い立ったとき、以前から気になって仕方がなかった『樅ノ木は残った』から入ることにした。
読み終わった時、山田風太郎マニア時代のヒーロー柳生十兵衛がかすんでしまい、主人公原田甲斐こそ我が理想の中年男性像となっていた。
ついでに同じ伊達騒動を扱った森村誠一の「虹の刺客」にまで手を出してしまった(残念ながらこちらは原田甲斐が主人公ではなかったが)
彼の地 仙台には特別の思い入れが
彼の地、仙台には特別な思い入れがある。出身校の青森高校では、東北大学を目指す同級生が多かった。私もそのうちの一人で、高校三年の夏まで目標にしていた理系クラスにいたが、勉強をしているうちに数学不得意、国語得手と気がつき、結局志望校を変更することになったのだが、東北大学への想いを察してくれた父が、ふと仙台につれて行ってくれたことがあった。
当時の青森では、秋田美人に津軽美人、仙台醜女(しこめ)と言われていた。仙台に行った私は、女の人の顔ばかりこわごわ見ていた記憶がある。 「なんだ普通の顔じゃないか」と感じてほっとした。
「仙台」への嫉妬心か 伊達女=仙台醜女
恐らく、青森の人には、仙台には 勇壮な伊達政宗のイメージがあってきっぷのいい伊達女= 醜女のイメージが定着していたのかも知れないし、青森県人のお国自慢、もしくは東北の雄、仙台への嫉妬があったのかも知れない。何せ仙台はトップアスリートの中でも抜群の美人の荒川静香を生み出しているではないか。彼女は実は東京生まれだとの風評があるが、すっぴんの時の赤いほっぺと少ししゃくれたあごは東北人の血筋であると断定できる。
(佐々木悟 医師:函館稜北病院 内科科長&副院長)


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