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2008年12月21日 (日)

奥山ドクターの往診学 第1回

 在宅医療を今日の民医連医療の全体の中にどう位置づけるか、という議論を、私たちは今後真剣に進めていく必要があります。そのテキストにと考えて「奥山ドクターの往診学」が企画されました。本連載はいかぽっ報の第19号(08年1月1日)から36号(08年7月1日)まで、7回に分けて掲載されました。

 奥山敬医師は、訪問診療をもっと地域の中に広めたいとの思いで、5年前に町立松前病院勤務中に職員の学習用として往診学をまとめています。年代や制度など、現時点において若干変更を加えなければならない点もありますが、全文ほとんど修正せずに掲載しています。

医療には本来訪問診療が必要

1. はじめに
Okuyama_dr_3  今日、在宅医療と呼ばれるものには、大きく2つの種類があります。1つは在宅高度技術医療、もう1つはいわゆる寝たきり患者の訪問診療です。

 近年、医療技術や機器の進歩により、これまで長期間入院して行うのが普通だった治療が在宅でも行えるようになりました。慢性腎不全患者が、通院して血液透析を行う代わりに自宅で行う自己腹膜灌流療法、口から栄養が取れない患者に対する中心静脈栄養法などはその代表的なものです。

 こうした治療法のうち、現在健康保険の給付対象となっているものは10種類あまりですが、これらの在宅医療の多くは比較的大きな病院の専門医によって管理されており、患者の多くは病院に通院して指導を受けています。

 一方いわゆる寝たきり患者の訪問診療ですが、従来、日本の障害者・要介護老人対策は施設収容中心であり、高齢者福祉十か年計画(通称ゴールドプラン)が策定されるまでは、在宅での療養を整備・保障しようという発想がそもそもなかったといえる状態でした。在宅寝たきり老人は、福祉だけでなく医療からも取り残されていました。

 要介護在宅療養患者は多くが通院困難であり、医療は原則的に往診・訪問看護などの在宅診療が必要になります。

 ところが、保険診療の規則では従来、医療機関外での医療行為を原則的に保険給付の対象としておらず、例外として往診時に行われる臨時の治療行為だけを認めてきました。10年余り前までは、医師の指示に基づいて看護師が訪問して行う患者への輸液や処置は厳密には保険診療の対象外であり、医療法での違法行為の可能性もあったのです。

 1980年代、在宅の「寝たきり老人」が社会問題となり、在宅療養患者の医療を制度的に保障することが、医療・福祉の現場から強く求められるようになりました。(つづく)

(奥山敬 医師:稜北内科小児科クリニック 消化器内科&在宅医療部長)

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